Japanese
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特集 消化管の創傷治癒
縫合法別にみた消化管創傷治癒
Healing Patterns of the gastrointestinal tract with respect to suturing methods
前谷 俊三
1
Shunzo MAETANI
1
1天理病院腹部・一般外科
pp.961-966
発行日 1975年8月20日
Published Date 1975/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206302
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はじめに
消化管吻合の成否を左右する因子のなかで縫合法は果たしてどれだけの重みを持つだろうか,1972年外科学会総会での陣内座長の問に対するシンポジストの答が色々であつたように,その評価は容易ではない.恵まれた条件下では,縫合法を変えても生体はそれに対応した治癒機転を示し,種々の縫合法の成績は大同小異に終ることが多い.文献をみると,縫合法の重要性を強調する者の間でも各方法の評価が全く相反することもある.われわれ外科医は縫合法について多少とも好みや偏見を持つていることは否めない.このためその評価において,本来データから導かれるべき結論が先回りして,逆にデータを従えるという危険もないではない.しかし,例えばGoligher8)の冷酷とさえ思える綿密な臨床実験が示すように,縫合法の差が手術の予後に重大な影響を及ぼすことも否定できない.そこでまず消化管の治癒過程で縫合部の強度に直接影響する要素を述べ,ついで各縫合法による癒合の差をこれと関連して検討する.
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