増刊号 それぞれの創傷治癒
7.リンパ管の創傷治癒
秋田 新介
1
,
加治屋 健太朗
2
,
三川 信之
1
1千葉大学医学部附属病院形成美容外科
2資生堂みらい開発研究所
pp.S30-S33
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130010
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はじめに
リンパ管系は皮膚皮下組織の恒常性の維持に必須な器官であり,創傷治癒過程において重要な役割を果たしている。リンパ管新生の不全は創傷治癒過程の遅延を引き起こし,慢性創傷の一因となる。皮膚リンパ漏はリンパ流の破綻とうっ滞を原因として生じ,創傷治癒不全を引き起こす。リンパ流が関連する慢性創傷の治療にあたっては,リンパ液の還流,静脈還流,組織線維化などの病態を考慮して計画を建てる必要がある。
創傷の治癒過程においては,創縁のリンパ流路を橋渡しするべく,リンパ管新生による修復が見られ,修復される方向性には一定のパターンが見られる。集合リンパ管レベルのリンパ流の途絶を伴う皮膚および皮下組織の欠損の治療に対して皮弁移植を行うにあたっては,採取部と移植床のリンパ流の再疎通が起こる。
本稿ではリンパ管系の機能,慢性創傷におけるリンパ管と,創傷治癒過程におけるリンパ管の再生について述べる。
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