Japanese
English
特集 乳癌—最近の趨勢
根治術後の機能障害
On the motion restriction of shoulder and the arm edema following radical mastectomy
久保 完治
1
Kanji KUBO
1
1国立名古屋病院外科
pp.677-682
発行日 1975年6月20日
Published Date 1975/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206256
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はじめに
乳癌の特有な進展形式の形態学的な解明が進むとともに,その根治手術の方式も逐次改善され,治療成績の向上に資してきた.他面,このように徹底した手術に伴う,患者に対する肉体的・精神的な侵襲は次第に大きくなり,その面に対する積極的な配慮の必要性が近時とくに痛感されるようになつてきた.すなわち「良薬は口に苦し」としてきた外科医の立場は"quality of survival"を考える方向に進みつつあるのが現状であろう.
これは,最近,医療の専門分化がすすみ,患者の"total care"の面で欠けるところがでてきたことにも関連があるであろう.診断,治療に術後管理を含め,一貫した体系下での乳癌患者のcareの重要性が認識されてきた.もちろん,はなはだ広範な領域なので,ひとり外科医のよくするところではない.乳癌術後の問題に限つても,肉体的,精神的,家庭的,社会的,性的あらゆる領野にわたつて問題が多い.他の専門領域の医師,ソーシャルワーカー(MSWおよびPSW),理学療法士(PT),職能訓練士(OT),看護婦など多くのスタッフの協力が要請されるところである.
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