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特集 外傷救急診療におけるDo's & Don'ts
四肢外傷—手術室におけるDo's & Don'ts
Limbs injury: Do's & Don'ts in the operating room
上野 良三
1
Ryozo UENO
1
1奈良医大整形外科
pp.1012-1014
発行日 1974年8月20日
Published Date 1974/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206099
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はじめに
近年,重複損傷(Mehrfachverletzung)の増加に伴い,四肢外傷についても両下肢あるいは上肢と下肢に複数の損傷を有する場合があるので,1つの損傷に止まらず全体的な治療計画が要求される.大腿骨折と下腿骨折が同一肢あるいは両肢にみられることもまれではなく,たとえば,大腿骨折に対して観血的整復固定術を,下腿骨折には非観血的整復術といつた方針を確定し,さらに術式を選定することが必要である.
四肢外傷に対して手術を決定した場合には術前,血管,神経損傷の有無を検査し,記録しておくことが重要で,上肢の損傷であれば橈骨動脈の拍動の有無,下肢であれば大腿動脈,膝窩動脈,足背動脈の拍動の有無,運動麻麻痺については,橈骨神経麻痺(腕関節背屈,MP関節伸展および栂指外転―栂指を手背に垂直に運動させる.拇指末節の伸展),尺骨神経麻痺(第5指DIP関節の屈曲,第2〜5指の開排,第2〜4指のMP関節屈曲,尺側手根屈筋による腕関節掌屈),正中神経麻痺(橈側手根屈筋による腕関節掌屈,PIP関節における指の屈曲,拇指IP関節の屈曲,拇指と小指の対立),下肢においては,深腓骨神経麻痺(足関節背屈),浅腓骨神経麻痺(足外側縁の挙上),大腿神経麻痺(膝関節伸展),脛骨神経麻痺(足関節底屈)などを検査し,知覚鈍麻あるいは知覚脱出の領域を観察して末梢神経損傷の有無を検査し,記録に止めておくことが必要である.
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