カラーグラフ 臨床病理シリーズ・25
アメーバ赤痢の術中所見と病理像(Ⅰ)
松峯 敬夫
1
,
白川 洋一
1
,
松原 修二
1
,
青木 幹雄
2
1東京都立墨東病院外科
2東京都立墨東病院病理
pp.976-977
発行日 1974年8月20日
Published Date 1974/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206088
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はじめに
アメーバ赤痢は経口的にとり入れられたentamoeba histolyticaの大腸侵入,定着に始まり,時折肝に転移性の巨大膿瘍を合併する疾患であることはよく知られている.しかしアメーバ赤痢の多くは,ほとんど症状のみられない軽症型であるといわれており,穿孔(いわゆるfulm-inating type),出血,狭窄,アメボーマ(amebic granu-loma),アメーバ性虫垂炎,肝膿瘍等の外科的合併症をきたすことは比較的まれである.
entamoeba histolyticaは栄養型として大腸粘膜に侵入すると,まず白血球浸潤の少ない壊死層を形成し,筋層が一種のbarrierとしてはたらくため,しばらくはそのまま留まつているが,粘膜筋板を穿通すると,崩壊・壊死が粘膜下層に急速に横に拡がり,粘膜が潰瘍縁に懸垂した典型的なflask typeの潰瘍が形成される.本来アメーバ赤痢の壊死巣は細胞反応に乏しいものであるが,この時期になると細菌による二次感染が加わり,白血球浸潤が著明となつてくる.
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