検査ファイル
赤痢アメーバ
髙田 季久
1
1大阪市立大学医学部医動物学
pp.239
発行日 1992年3月1日
Published Date 1992/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900983
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原虫類のうちの根足虫上綱,アメーバ目に属し,学名はEntamoeba histolytica Schaudinn,1903である.世界に広く分布するが,熱帯・亜熱帯地の非衛生な地域に多い.現在世界の人口の約10%に当たる5億人が本原虫に感染しており,毎年少なくとも4万〜11万人の死亡が推定されている.
本原虫は主としてヒトに感染するが,ヒト以外にも,イヌ,ネコ,サル,ブタにも感染がみられ,これらがまれにヒトへの感染源となりうる.また,患者の糞便により汚染された水や飲食物による通常の感染様式以外に,精薄者などの特殊施設における集団発生や,さらに近年AIDSの発生とともに欧米の男性同性愛者における高率な感染の存在が明らかになり,性感染症(STD)の1つとして注目されるようになっている.
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