カラーグラフ 臨床病理シリーズ・17
胃疾患の肉眼診断・9
Ⅴ.胃のまれな癌
佐野 量造
1
1国立がんセンター病理部
pp.892-893
発行日 1973年7月20日
Published Date 1973/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205835
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1.類腺癌(adenoachanthoma)および扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)(症例 48)
胃の扁平上皮癌は胃癌の1%程度を占めるまれな癌で50歳代に多い.組織学的には,腺癌と共存している類腺癌と純粋な扁平上皮癌に分けられる.肉眼的にはボルマンⅡ型を呈するものが多いが,Ⅰ型またはⅡc型の形をとるものもある.胃のいずれの部位にも生ずるが噴門部に比較的多い.予後は一般の胃癌に比較して悪い.胃の類腺癌は腺癌の癌細胞が扁平上皮化生して生ずるが,純粋の扁平上皮癌は迷入した,または化生した胃粘膜内の扁平上皮の癌化したものと考えられていた.しかし実際に良く調べると,純粋の扁平上皮癌といわれたものでもその1部に腺癌を証明する例が多いので類腺癌に属するものがほとんどである.
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