Japanese
English
特集 麻酔—外科医のために
Poor Riskの麻酔
腎機能障害の麻酔
Anesthesia for the patient in renal failure
加藤 浩子
1
,
森 健次郎
1
Hiroko KATO
1
1京都大学医学部麻酔科
pp.757-760
発行日 1973年6月20日
Published Date 1973/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205817
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.腎不全の病態生理
急性腎不全とは,臨床上急激に乏尿,無尿,尿毒症状をきたすものをいい,成因として,腎前性,腎性,腎後性のものがある.尿路閉塞による腎後性のものを除いては,一般に,外科手術後の合併症としてみられることが多い.術中の出血性低血圧による腎の乏血,胆道手術後にみられる肝腎症候群,異型輸血による急性尿細管壊死などが,その例である.近年妊娠中毒症などの産科領域の急性腎不全は減少しつつあるが,反面,交通外傷による外傷性急性腎不全は増加の傾向を示している.急性不全は,病態生理学的には,1)腎血流の減少による糸球体濾過の減少,2) aldosteroneを介しての尿細管再吸収の増加,あるいは,腎乏血により生じる尿細管細胞へのback diffusion,3)尿路閉塞による腎盂内圧の上昇が考えられる.
急性腎不全が術後性のものとして遭遇されるのが多いのに対して,術前に腎障害を有している患者の多くは,慢性腎不全を呈している.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.