カラーグラフ 臨床病理シリーズ・5
肺癌Ⅲ
下里 幸雄
1
,
鈴木 明
2
1国立がんセンター病理部
2国立がんセンター内科
pp.734-739
発行日 1972年6月20日
Published Date 1972/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205615
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Small Cell Anaplastic Carcinomas小細胞癌(Ⅱ),およびLarge Cell Carcinomas大細胞癌(Ⅳ)(WHO):小細胞癌は1.fusiform cell type,2.polygonal cell type,3.lymphocyte-like("oat cell")type,4.othersに分けられている.当センターでは小細胞癌は手術的に剔出した症例の約5%,剖検例の17%を占めている.その多くは区域支までの太い気管支に発生するが,末梢発生も稀ではない.太い気管支に発生したものでも末梢肺野の二次変化は扁平上皮癌の場合より軽度である.この癌は制癌剤,放射線に感受性が高いけれども肺癌のなかで予後の最も悪い腫瘍である.組織学的には,細胞質の量の少ない小型の細胞からなるが,組織発生のみならず,臨床的にも異つた幾つかの癌を含んでいる可能性がある.なかでも燕麦細胞型はしばしばロゼット形成,リボン状ないし索状配列を示し,カルシノイドと類似するものがあり,電顕的には100〜300mμの神経分泌顆粒様の顆粒を有し,さらにセロトニンやACTHを産生するものもあることなどから,現在ではKultschitzky cell(argentaffine cell)由来であるとする考えが強くなつてきた.
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