カラーグラフ 臨床病理シリーズ・6
肺癌Ⅳ
下里 幸雄
1
,
鈴木 明
2
1国立がんセンター病理部
2国立がんセンター内科
pp.886-891
発行日 1972年7月20日
Published Date 1972/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205634
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
悪性度の低い肺癌:Carcinoid Tumorsカルシノイド(Ⅵ)ならびにBronchial Gland Tumors気管支腺腫瘍(Ⅶ)(WHO):(Ⅶ)は1.Cylindromas(adenoid-cystic carcinomas腺様嚢胞癌),2.Mucoepidermoid tumors(粘表皮癌),3.Othersに分けられている.これらは従来腺腫としてあつかわれていたが,時に転移し致死的となる.比較的稀な腫瘍で,国立がんセンターで切除した肺腫瘍400例中カルシノイドは4例,腺様嚢胞癌は2例,粘表皮癌は3例にすぎない.
カルシノイドの頻度は欧米に比べかなり低い.この多くは主・葉・区域・気管支に発生しポリープ状に内腔に突出するが,末梢発生のものも時にみられる.30〜40歳台に発見されるものが多い.随伴症候として,カルシノイド症候群の他クッシング症候群を伴うものもあり,気管支ならびに気管支腺上皮内に存在するKultschitzky cellから発生すると考えられ,また燕麦細胞癌との関連が論議されている.5年生存率は57〜95%といわれている.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.