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外科の焦点
転移性肺腫瘍の治療成績—とくに手術剔出肺における病理組織学的所見と手術成績について
Clinical analysis of 117 cases secondary lungcancer:Out come of the patients with surgical treatment, and pathological study of surgically resected specimens with special reference to the initial pulmonary metastasis formation.
高橋 邁
1
,
橋本 邦久
1
,
長島 康之
1
,
三浦 千司
1
Tsutomu TAKAHASHI
1
1東北大学抗酸菌病研究所外科
pp.1689-1695
発行日 1971年11月20日
Published Date 1971/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205468
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はじめに
肺は,全身混合静脈血が通過するため,あらゆる臓器に発生した悪性腫瘍は,末期にはその10〜30%が肺に転移巣を形成すると報告されている1,2).
近年,悪性腫瘍に対する診断ならびに治療法の進歩に伴い,転移性肺腫瘍に対して強力な抗癌剤による化学療法,および内分泌依存癌の肺転移例に対しては内分泌療法の併用が試みられ3-5),かなりの効果を得たという報告がみられ,また,(1)原発巣が完全に剔除され,(2)肺以外の臓器に転移がなく,(3)肺転移巣は孤立性であるか,多発性のものでも,1肺葉ないし1側肺に限局しているなどの基準6-11)を充たすものに対しては肺切除療法が施行され,その遠隔成績の報告が数多くみられるようになつた6-14).
当研究所付属病院において昭和46年3月末までの過去27年間に診療した転移性肺腫瘍は117例あり,これらのうち肺切除を行なつたものが22例あった.これらについての治療成績ならびに,悪性腫瘍の肺転移機序を解明し,肺転移防止対策を得ることを目的として手術剔出肺について病理組織学的に検索した成績について報告する.
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