Japanese
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特集 皮膚切開法と到達法・Ⅱ
虫垂炎の手術
Appendectmy
渡辺 晃
1
,
加畑 治
1
Akira WATANABE
1
1国立水戸病院外科
pp.915-921
発行日 1972年7月20日
Published Date 1972/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205638
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Ⅰ.虫垂炎の多様性と外科医の態度
虫垂切除とひとくちに言つてもその難易は年齢,性別,肥満度,移動性,位置異常ならびに炎症の程度など,それぞれの組合わせによつて千差万別であるのできわめて簡単容易でもあるが尋常一様に行かないものも多く種々雑多である.従つてこれらを完全にマスターするにはやはり10年からの経験を必要とするであろう.そして如何なる症例をも正しく手術することはなかなか難しいものである.そういう訳でタカをくつて手術に臨んではならないことをまず銘記すべきである.たとえばかなりベテランの外科医が安易な気持で手術を始めたところ虫垂がなかなかみつからず,やつとみつけたところ虫垂間膜がちぎれたりして出血が多くなんとか止血をしているうちに時間は経過し腰麻はきれてくる.内容はなかなかおさまらず四苦八苦して手術を終り,なんと拙ない手術だつたろうと嘆息し情なくなることは,恐らく外科医たるもの誰しも一度ならず経験するところであろう.このようなことが何故起こるかということを反省してみると,アッペだというので患者をろくにみないで手術を始めたり,準備が悪い.皮切が悪い.麻酔がよく効かない,助手が悪いなど様々な悪条件が重なつている場合が多く必ず原因があるわけで心すべきことと思つている.
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