診断の手ほどき
比較的小さなⅡc+Ⅱa型早期胃癌の症例
信田 重光
1
,
安井 昭
1
,
沢田 好明
1
,
高村 達
1
,
池口 祥一
1
,
鈴木 武松
2
1順天堂大学外科
2東京都品川区医師会
pp.623-626
発行日 1970年5月25日
Published Date 1970/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111284
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はじめに
筆者の教室で最近2年間に早期胃癌切除例47例を得たが,そのうち長径が1.0cm以下の病巣を有するものが7例あり,うち5例は術前に早期胃癌と診断することができた.ここに示す症例はそのうちの1例で,1.0×0.6cmの大きさのⅡc+Ⅱa型早期癌である.誤診をした2例は,1例はポリープ.中に0.3×0.3cmの癌病巣を有するものであり,他の1例は線状潰瘍の一部に0.2×0.2cmのⅡb型病巣を有するもので,前者は生検・細胞診ともに陰性,後者は線状潰瘍に目をうばわれて,生検.細胞診など検査を施行しなかったものである.以下に示す症例はX線で発見し,以下カメラ,細胞診,生検のすべてで癌病巣の存在を証明し得たので報告するに値すると思う.
またⅡc+Ⅱa型,後のBorrmann 2型を形成する例では,一般に癌の浸潤が比較的早い時期に粘膜下層に達しやすいといわれている.したがって,この型のものは少しでも早い時期に的確な診断を下し,手術を行なうことが重要である.
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