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特集 緊急手術後の合併症・Ⅰ
緊急手術後の腎不全
Acute renal failure following emergency operation
太田 和夫
1
Kazuo OTA
1
1東京女子医科大学・理論外科
pp.235-242
発行日 1971年2月20日
Published Date 1971/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205302
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はじめに
ショック状態で運ばれてきた患者の診断をくだし,輸血,輸液や強心剤などショックに対する処置をして手術にもちこむ.手術中,麻酔医は低血圧や頻脈などに悩まされるが,とにかく手術は無事に終り,麻酔からも覚醒した.やれやれと胸をなでおろしていたところ,1〜2日してから,どうもあの患者は尿量が少ない,などと連絡をうけ,さては急性腎不全に陥ったかと愕然となつた経験は外科医ならば1度や2度はもっているものである.
今回緊急手術後の合併症として術後の腎不全をとり上げたこの特集に,たまたま「術後腎不全をどうするか」という立川共済組合病院外科の川野博士と私の対談が同時に収録されることになり,この対談の中で,術後急性腎不全の治療面における具体的な問題が述べられているので,それとの重複をさける意味もあつて,ここではイレウス,消化管出血,閉塞性黄疸など緊急手術の対象になりやすい疾患とこれらの場合に見られる急性腎不全の特殊性について紹介し,あわせてそのback groundとなるべき病態生理についても触れてみたいと思う.
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