論述
外傷後急性腎不全について—急性腎不全をきたした骨盤骨折の症例から
並木 脩
1
,
白須 敞夫
1
,
上田 礼子
1
,
戸松 成
1
,
矢尾板 孝子
1
,
太田 和夫
2
,
須田 昭夫
2
Osamu NAMIKI
1
1東京女子医科大学整形外科学教室
2東京女子医科大学人工腎臓センター
pp.997-1003
発行日 1973年12月25日
Published Date 1973/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904920
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骨盤骨折は,強大な外傷による関係上,整形外科的処置とともに,全身の管理方法が重要視されるが,ショック期を脱した後に急性腎不全をきたし易いことについては,意外に看過されているように思う.最近,自動車の激増とスピード化による交通事故や,労働災害による事故の発生頻度が増加し,重症の骨損傷も多くなり,整形外科的処置とともに全身の管理方法が重要視されてきている.急性腎不全は,従来死亡率の高い合併症であつたが,人工透析法の急激な進歩により,かなりの成績向上がみられるようになつてきた.このことは裏返していえば,急性腎不全を早期に発見し,適切な処置をほどこすことが,より重要になつてきたということができよう.ここでは外傷後急性腎不全に対する診断と処置を,われわれの症例を中心にして考えてみたいと思う.
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