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特集 緊急手術後の合併症・Ⅱ
食道静脈瘤破裂による出血に対する緊急手術後の肝不全
Hepatic insufficiency after emergency operation of esophageal hemorrhage
杉浦 光雄
1
,
市原 荘六
1
,
野村 満
1
,
二川 俊二
1
Mitsuo SUGIURA
1
1東京大学医学部第2外科学教室
pp.403-412
発行日 1971年3月20日
Published Date 1971/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205321
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まえがき
食道静脈瘤の出現は門脈圧亢進症状の1つであり,食道静脈瘤破裂による出血の防止は門脈圧亢進症の外科的治療の対象となつている.門脈圧亢進症を来たす疾患としては種々のものがあるがこれらには肝硬変症,肝線維症,いわゆる先天性門脈異常,慢性日本住血吸虫症,肝部下大静脈閉塞症,腫瘍などによる肝外門脈閉塞症などが含まれている.最近の傾向として組織学的に肝線維症によるいわゆるBanti症状群よりは肝硬変症が増えており,教室で過去6年半にわたり食道静脈瘤に対する手術として食道離断術(東大第2外科法)を行なつているが,70例中肝硬変症30例,肝線維症25例で肝硬変症の方が手術例としては増えている.肝硬変症を手術対象とすれば高度肝障害例もかなり含まれ,術後肝不全のおこる可能性は増大する.
門脈圧亢進症の外科的治療面からみれば食道静脈瘤に対する術式として門脈圧亢進の概念から減圧手術が当然想定され,このための血管吻合手術が標準術式として過去数十年にわたり行なわれている.
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