Japanese
English
特集 Silent Disease
Silent Diseaseとその外科的治療
Silent diseases and its surgical treatment
斉藤 淏
1
Kiyoshi SAITO
1
1日本医科大学第二外科
pp.1779-1784
発行日 1970年12月20日
Published Date 1970/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205261
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Silent diSease(S.D.)といわれているものは,病変が実在するのにもかかわらず,producing nodetectable signs or symptoms, noiseless(Doland'sMed Dictionary),無音,無声,沈黙の状態にあつて,全く症状を示していない疾患のことである.潜在性疾患と訳されている.すべてこうした字句は,臨床家のために作られてあると思う.なるほど剖検によつて始めて陽の眼を見た,つまりそれまで潜在していた疾患は多い.しかし特異な疾患ではない.そこで病理学者がもし興味を覚えたとしたら,臨床診断の限界でも考えてのことに過ぎないであろう.われわれ臨床家は,潜在の実態やその意義や,またその疾患の種類や性質,さらにまたその予後に止まらずその顕在化にまで考究を広めようとする.そして多くの困難な問題の含まれていることに気づく.無症状であるからといつて無関心あるいは無責任ではすまされない対象であるとも理解するのである.
S.D.が自らヴェールを取り払つて全貌を露呈することは多い.これは疾患の自然の経過というほかない.すべての疾患について,臨床家は,初発時の真の姿を知ることは困難である.細菌感染においては,その侵入時に直ちに炎症性病変は始まつているわけで,細菌の種類により一定の潜伏期のあることも知られている.
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