Japanese
English
特集 Silent Disease
食道のSilent Disease
Silent disease of the oesophagus
鍋谷 欣市
1
Kinichi NABEYA
1
1千葉大学医学部第二外科
pp.1815-1822
発行日 1970年12月20日
Published Date 1970/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205265
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まえがき
食道は咽頭と胃を連絡する食物の通路であるから,もしこの食道に変化が起これば,機能的であれ器質的であれ,またその程度の差こそあつても良物の通過障害が起こるのが当然である.多くの食道疾患にみられる,嚥下困難,つかえ感,不快感,胸骨後方痛,逆流,胸やけ,嘔吐,出血などのいわゆる食道症状が現われる.しかし,疾患の種類によつてはこれらの症状が早期から出現するものと,かなり進行しないと出現しないものがある.また現われた症状が次第に増強して行くものと,ある程度までは全く無症状に経過し,突如として重篤な症状が現われるものがある.このSilentDeseaseというのは,厳密にいえば最後まで症状かなく,たまたま他の疾患の検査で偶然に発見されるもの,あるいは単なる身体検査たとえば集団検診,さらには死後解剖などで発見される食道疾患を指すものと思うが,ここでは多少拡大解釈をして軽度の症状はあつても見逃されやすいもの,また当然発見されるものであつても発見されたときには予想外に進行している場合が多い疾患も含めて考えてみたい.また,一つの食道疾患のみでなく2〜3の疾患が合併している場合に,一方の疾患に捉われて他方を見逃す場合があるので注意しれければいけない.
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