Japanese
English
特集 Silent Disease
膵のSilent Disease—特に膵癌について
Silent disease of the pancreas-with special reference to pancreatic cancer
横山 育三
1
,
村上 千之
1
,
平岡 武久
1
Yokoyama Ikuzo
1
1熊本大学医学部第1外科
pp.1863-1870
発行日 1970年12月20日
Published Date 1970/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205271
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はじめに
Silent Diseaseという言葉を文字通りに解釈すれば,ある臓器に"治療を必要とする"ような病変がありながら自他覚的にはほとんど明確な症状所見を示さない状態ということができる.その時点では本人はそれ程苦痛を感じていないが,時間が経過すると治療がきわめて困難になるためにいわゆるsilentな時期に診療を行なう必要がある疾患である.なお実地臨床上では,何らかの自他覚的症状所見はあるが,それが直接ある臓器に由来するとは思われないのに,実際はその臓器に原因がある場合も少なくない.いわばsimulating diseaseとでもいうべき状態であるが,その臓器に直結した症状所見を欠くという意味ではやはりsilentということかできる.
膵臓に何らかの病変がありながら自他覚的にほとんど症状所見を示さない疾患としては副膵,環状膵などの先天性奇型,嚢胞症特に先天性膵嚢胞症,良性腺腫特に非分泌性nonfunctioning ade-nomaなどがあげられる.これらの病変のうちのあるものは"治療を必要とする"程度の症状所見を示すことがあるのは衆知のとおりであるが,silentであるものの大部分は"治療を必要とする"ような状態でない場合が多い.
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