Japanese
English
特集 腫瘍の病理と臨床
論説と症例
肺癌手術後,長期生存例について
On the postoperative long survival cases of lung cancer
片岡 一朗
1
,
堀江 伸
2
,
加藤 恒康
1
,
桜井 凱彦
1
,
野口 達也
1
,
矢部 熹憲
1
,
和田 輝洋
1
,
中条 能正
1
,
野口 真吾
1
,
橋上 保二
3
,
矢田 一
3
Ichiro KATAOKA
1
1日本医科大学第一外科教室
2日本医科大学第二外科教室
3国立福島療養所外科
pp.969-975
発行日 1970年7月20日
Published Date 1970/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205146
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はじめに
最近,肺癌手術後の長期生存率は著しく向上して,欧米における諸家の報告では,1950〜1960年代における5年生存率は20〜30%である.わが国における肺癌手術後5年生存率は1963年河合は全国統計を示し,7.9%といい,1965年鈴木は全国12施設の調査で,肺癌切除546例のうち89例が5年以上生存し,19.6%の生存率を示し,昭和30年頃に比べ,ここ数年間に著しい進歩を示し,欧米の水準に近づいている.これは肺癌の診断法,手術適応の選定,手術手技の進歩および手術前後における放射線療法,化学療法併用などの補助療法が好影響を与えているものと老えられる.
肺癌手術後の長期生存率についての検討には多くの報告がみられ,病理学的の面からは癌の組織型,周囲組織の浸潤,リンパ行性または血行性転移の有無,また臨床面からは術前後放射線療法,化学療法の併用などについて検討されているが,まだ決定的な要因はみいだされていない.
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