特集 進行期肺癌治癒への道—がんゲノム医療と免疫プレシジョン医療の接点
プロローグ
肺癌患者の長期生存戦略
各務 博
1
1埼玉医科大学国際医療センター呼吸器内科
pp.306-312
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200365
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Point
・がん細胞の遺伝子情報に基づく治療
がん細胞の本質は遺伝子変異にある.遺伝子変異は,全クーロン共通なものからクローンごとに異なるものまで,進化の樹形図のように存在している.クローンごとに異なる遺伝子変異は多様性を生じ,がん細胞そのものを標的とするあらゆる治療の耐性メカニズムに結びついている.
・がん細胞に対するT細胞免疫
非自己遺伝子産物を作りながら増殖するがん細胞は,生まれたときから免疫監視下にある.非自己遺伝子産物の一部はネオ抗原として認識されるため,遺伝子変異量の多いクローンがT細胞免疫により優先的に駆逐される.
・長期生存戦略
遺伝子変異により異常な振る舞いをするがん細胞を長期にわたり制御するためには,がんという性質を作る遺伝子変異,付加的変異による多様性,治療耐性獲得,T細胞免疫による遺伝子変異の編集,T細胞免疫減弱メカニズム,の理解に基づいた適切な治療選択が必要と考えられる.
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