Japanese
English
論説
閉塞性黄疸と術後合併症
Obstructive jaundice and its postoperative complication
玉熊 正悦
1
,
荷見 秋彦
1
,
中山 夏太郎
1
,
小泉 澄彦
1
,
石山 賢
1
,
中野 春雄
1
,
金山 知新
1
Shôetsu TAMAKUMA
1
1東京大学医学部石川外科教室
pp.81-89
発行日 1969年1月20日
Published Date 1969/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204779
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はじめに
手術の対象となる黄疸は,剔脾の適応とされている溶血性黄疸など一部の血液疾患を除けば,その大部分が胆汁排出の機械的に障害された閉塞性黄疸である.近年これに対して,閉塞性黄疸自体を軽減させる姑息的手術操作から,病巣の根治的拡大手術に致るまでいろいろな外科的治療法が工夫されているが1),診断技術や術後管理全般にわたる最近の進歩にもかかわらず,その手術成績はきわめて悪く暗澹たる現状である.これには,黄疸が軽い早期に内科的黄疸との鑑別が往々にして難しく,しかも黄疸の進むにつれて肝実質障害や胆道感染を伴つて複雑な病像を呈してくるという診断学上にも問題があろう.しかしこれと並んで,閉塞性黄疸患者が手術侵襲を契機としてこれからとりあげる各種の重要な合併症を併発し易いことも大きく関係しており2),その病態を明らかにしてきめ細い対策を確立することが,肝胆道系の手術成績をたかめるためにも不可欠である.
従来からわれわれは,出血や重症感染などに伴う全身の循環動態の変動,重要臓器の機能や代謝の変化に閉塞性黄疸の有無がどのように影響するかを基礎並びに臨床の両面から検討してきた.本稿ではこれらの知見を加味して,教室の症例を中心に閉塞性黄疸の手術後合併症の実態を重点的にとりあげてみたい.
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