Japanese
English
論説
局所麻酔剤による全身性中毒反応に対する救急処置
Treatment of acute general toxic reaction to local anesthetics
橘 直矢
1
Naoya TACHIBANA
1
1東京大学医学部麻酔学教室
pp.91-96
発行日 1969年1月20日
Published Date 1969/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204780
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はじめに
日本法医学会が課題調査として昭和39年度末日を終期とした過去5ヵ年間の薬物ショック死剖検例の報告1)がさらに1例づつ詳細な表でまとめられた2)ものをみると,「麻酔シッヨク死」として141例があげられ,「抗生物質によるシッョク死」60例,「ピリン剤によるショック死,異常中毒死」31例,「その他の解熱剤および鎮痛剤による,ショック死,異常反応死」9例,「サルファ剤ショック死」5例,「ワクチン・血清類による異常反応」5例,「その他各種注射によるショック死」34例,「その他の内服,注射等による異常反応」5例等に比べて「麻酔ショック死」が圧倒的に多く,これら剖検された薬物ショック死全数290例の49%に近い.しかも,「麻酔ショック死」141例中の103例すなわち73%は局所麻酔剤に依るとされている.
もちろん,薬剤や手技の普及の具合や実施頻度を分母にして考えねばおのおのの薬剤なり手技そのものの危険度に言及するわけにはゆかないから,「抗生物質」の危険度と「麻酔」の危険度とをくらべて「麻酔」の方が危険であるというようなことを述べるわけにはいかない.同様に,麻酔のなかで局所麻酔が一番致命率が高いというような結論を出してくれる資料ではない.
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