臨床メモ
N2Oによる水頭症の診断
松角 康彦
1
1熊本大学医学部脳神経外科
pp.42
発行日 1969年1月20日
Published Date 1969/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204774
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乳児の頭囲が大きく泉門が開いておれば,一見して水頭症の診断はつく.さらに眼球が下向きでいわゆる落陽現象があつたり頭皮下の静脈が怒張していると一層それらしい.しかしこれらの所見はあくまで症状であつて,原因の何かを示すものではない,髄液の副行路を設置したりする前に,何が原因で水頭症になつたかを知る必要がある.暗室で透光法を行なうと簡単に側脳室の大きさや左右の相称性を見ることができるが,後頭蓋窩の模様は不明であり,また頭蓋が厚くなつた小児では効果がない.
交通性か非交通性かを知るためにには,今まで色素を脳室内に注入して脊髄液の着色と吸収排泄を見る方法があった.RISAを使用すると一層簡便でカメラにより髄液腔の交通性や脳室のおおよその陰影を知ることが可能となつた.しかしながら,脳室内の異常陰影を知るにはやはり油またはガスを注入して見るのにはおよばない.年長児の場合など診断を確かにするために気脳法をぜひ行なつてみるべきである.
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