臨床メモ
胃手術後患者の貧血に対する治療の要点
古賀 成昌
1
1鳥取大学綾部外科
pp.1264
発行日 1967年9月20日
Published Date 1967/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204401
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胃全摘出後には術後経過にしたがつて,ある種の貧血が発生することが知られている.すなわち,術後1〜2年で低色性貧血,2〜3年で正色性貧血,3〜5年で高色性血があらわれ,一定の治療を行なわなければ,ついには無胃性悪性貧血があらわれてくる.この原因として,胃全摘出にもとづく胃内因子の消失,腸内細菌の異常分布などによるビタミンB12を中心とした造血因子の代謝障害,およびこれに関連して鉄代謝障害の存在などが考えられる.
私共はかつて,胃全摘出後5年以上経過した症例について,末梢血液所見,骨髄所見について検討したところ,大部分の症例でヘモグロビン値の低下がみられ,かつヘモグロビン値に比べ赤血球の減少が大で,色素指数が1.1以上の高色性貧血が認められ,また,骨髄像では赤芽球系の成熟障害があつた.したがつて,かかる場合の貧血の治療方針を知ることは,術後管理の上から,外科医としてきわめて大切なことと思われる.
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