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特集 鼠径・陰嚢ヘルニアの問題点
術後の睾丸萎縮の予防はどうすべきか
Can the testicular atrophy after inguinal herniorrhaphy be prevent?
志村 秀彦
1
Hidehiko SHIMURA
1
1九州大学医学部第1外科教室
pp.32-35
発行日 1967年1月20日
Published Date 1967/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204200
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はじめに
鼠径ヘルニアの術後合併症として出血(陰嚢血腫),陰嚢水腫,創感染,術後再発,呼吸器合併症(肺炎,気管支炎,肺栓塞),睾丸萎縮などが挙げられている.術後の睾丸萎縮は,以前は重視された合併症の1つであるが,最近では稀な合併症とされKiesewetterは,243例の手術例中4例,Welchは840例中4例に軽度の萎縮を認めたにすぎない.またSwensonは506例の小児ヘルニアの手術例中,術後合併症としての睾丸萎縮を見ず,Grossも1940年以来の3874例の手術例で,1例も経験していないと報告している.われわれも現在まで手術例の遠隔調査で,軽い睾丸萎縮を起した1例を経験しているにすぎない.しかし嵌頓ヘルニア,炎症性ヘルニア,再発性ヘルニア,巨大ヘルニアなど局所の病変が強く,手術操作が困難なものでは精索の血管損傷を起こしやすく,術後睾丸萎縮をきたす危険も大である,筆者は本問題についてその原因,および予防法について概説したい.
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