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特集 手術と出血対策Ⅱ
ヘルニア手術における出血の予防と対策
Prevention of the hemorrhage caused by herniorrhaphy
志村 秀彦
1
Hidehiko SHIMURA
1
1九州大学医学部第一外科教室
pp.365-369
発行日 1970年3月20日
Published Date 1970/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205060
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はしがき
鼠径ヘルニアの術中および術後合併症として嵌屯腸管の損傷,膀胱損傷,神経,血管損傷,呼吸器合併症(肺炎,気管支炎,肺栓塞),術後再発,創感染,陰嚢血腫,陰嚢水腫,睾丸萎縮,精系静脈血栓等があげられるが,手術手技はもちろん術前術後管理の進歩した今日ではかかる合併症の発生はきわめて稀なものとなつている.しかし嵌屯ヘルニア,炎症性ヘルニア,再発性ヘルニア,巨大ヘルニア,滑脱ヘルニアなどでは局所の病変も強く手術操作が困難なため手術に伴う種々の偶発事故や術後合併症を起し易い.特に炎症の強い嵌屯ヘルニアや滑脱ヘルニアでは手術侵襲が比較的大きなため前記の種々の合併症,特に術後感染,術中の出血や術後血腫等を起す頻度も大であり,我々も軽い程度の術後血腫や浮腫などを含めて約10%位に合併症を経験している.筆者は主として術中術後の出血対策や予防について概説したい.
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