グラフ
術中細胞診
林田 健男
1
,
瀬戸 律治
1
,
後籐 一博
1
1東大医学部分院外科
pp.1633-1637
発行日 1966年12月20日
Published Date 1966/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204162
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
従来,手術中の迅速診断には,病理組織学的なfrozensectionが用いられており,その診断の精度はかなり高く,確実な方法であるが,胃粘膜などの小病変より,試験切除を行ない,組織学的検索を行なうことは,病変損傷のおそれがあり,また1〜2コの試験切除では,微小な早期胃癌例の場合,その目的を達しえないこともある.しかるに細胞学的診断法は,細胞単位の判定法であるので,擦過,穿刺・吸引などにより得られる極めて少量の標本で足りることになり,また簡便,迅速で多数の検体を短時間に処理することが可能である.すなわら細胞学的診断法が,その診断成績において良好であれば,迅速診の有力な方法として成立しうると考えられる.私はこのような考えのもとに,術中細胞診を提唱し,昭和38年10月以来,現在まで,300例近い種々の疾患(約半数は胃疾患)について施行してきている.
染色法としては教室考案の"Giemsa原液法"の他,Field法,Acetogentiana Violet法,Acridine Orange法(螢光染色),位相差法を用い,大略1分30秒ないし2分以内に完了し,4〜5分で報告するといつた迅速性を経験している.その成績は全体で93%の正診率で,検者が熟練したGiemsa法や,Field法では95%に達しており,各分野における細胞診の進歩,発達とともに,より秀れた成績を挙げうるものと考えている.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.