トピックス
結核に対する最近の外科療法
浜野 三吾
1
1国立療養所村松晴嵐荘
pp.1565-1566
発行日 1966年11月20日
Published Date 1966/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204148
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はじめに
抗結核剤が導入されて約15年を経た今日,結核の死亡率および罹患率は著しく減少し,結核対策がようやく浸透してきたものと言えよう.前時代における結核は,不治の慢性伝染病であり,公衆衛生上最優先施策を要するという社会通念は現在の治療成績により大幅に改められなければならなくなつた.肺結核は公的な治療基準を設けて大量治療が行なわれ,外科治療も40万件にのぼるものと推定される.しかしこれらの標準治療の設定によつて,治療理念が固定化し,従来の経験では予想しえなかつた肺結核症の質的変化が起こつてきたことに注意を払わなければならなくなつた.すなわち「患者の高齢化」,「未治療耐性保有例」,「菌陰性空洞」,「耐性例の外科治療」,「外科的難治結核」などの現象である.これらの病像の変貌に対しては,従来の固定化した治療概念をそのまま適用することは妥当ではない場合が多いようである.外科治療においても,化学療法の成績を評価することにより,その適応を再検討することが必要であり,また今後増加が予想される新しい課題に対応する治療法がとられなければならない.
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