診断のポイント
膵疾患の鑑別診断(3)—膵癌その他
若林 利重
1,2
1東京警察病院外科
2東京大学
pp.1416-1419
発行日 1966年10月20日
Published Date 1966/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204124
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.膵癌
最近10年間に,膵癌または黄疸(おそらく膵頭部癌)という臨床診断で開腹した症例は32例であるが術前診断の適中したものは23例であり,誤診例は9例であつた.誤診例9例の内訳は慢性膵炎4例,総胆管癌3例,胃癌,後腹膜腫瘍各1例である.やはり慢性膵炎との鑑別は問題になるが,膵癌は慢性膵炎に比較すれば臨床的に診断しやすいようである.それは発生部位からみて膵癌の約65%は膵頭部癌であること,年齢的には50〜60歳台に多くみられ症状も比較的固定していることによる.ちなみに体部癌は約7%,尾部癌は約10%,広汎性癌は約18%といわれている.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.