外国雑誌より
Postcommissurotomy Dilutional SyndromeとADH(Antidiuretic Hormone)
上井 巌
1
1東京大学医学部胸部外科
pp.681
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203980
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僧帽弁狭窄症に対して交連切開術を行なつたあとに起こるPostcommissurotomy SyndromeはSoloff1)らによれば術後ある期間ののちに起こり胸痛,発熱を主徴とし,ときに精神神経症状,不整脈,心不全,喀血などをともないまれに死に至ることもあり原因としてはリウマチ熱の再発であろうという.またPostcommissurotomy Hyponatremic SyndromeあるいはPostcommissurotomy Dilutional Syndromeといわれるものがあり,これは血清のNa値Cl値の低下が特徴的で術後比較的早期におこりWilsonら2)によれば手術侵襲によつてNaの貯留がおこるにもかかわらずそれを上まわる著明な永分蓄積によるもので厳重なNa制限を行なつてもなおかつ起こり回復には数カ月を要するとのべている。またGoodyerら3)は水分の摂取量とは直接の相関はないといい何等かのAntidiuretic Stimulusの存在を想定している.D'Angeloらはこの異常な水分の蓄積の原因としてADH(Antidiuretic Hormone)に注目し治療としてはADHの遊出を抑制するといわれるAlkoholの投与を推奨している.
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