Bedside Teaching
Billowing Posterior Mitral Leaflet Syndrome
河合 忠一
1
Chuichi Kawai
1
1大阪医科大学第3内科
13rd Div., Dept. of Int. Med., Osaka Medical College
pp.1059-1068
発行日 1973年11月15日
Published Date 1973/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202559
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新しい診断法の出現により,それまで記載はされながら原因の判らなかった疾患または症候群が見直され多くの事実が明らかにされて臨床医学の発展に寄与することは決してまれではない。選択的左室造影法(selective left ventricular angiocardiography or cineangiocar—diography)により近年明らかにされた僧帽弁(主として後尖)の異常膨隆(billowing posterior mitral leaf—let1)2), ballooning mitral valve3)4), prolapse of mitral valve5)〜9))または瘤状突出(aneurysmal protrusion of the posterior leaflet of the mitral valve10))などとよばれる症候群はその典型的な例といえよう。ここでいう"billowing"とは収縮後期に左房側へ異常に膨隆した僧帽弁後尖がちょうど大波のうねりに似た様子を形容したものである。
この症候群は心尖部に収縮中期クリック音と,収縮後期雑音および心電図上異常T波を伴うことで知られているが,収縮中期クリック音の記載は古く1887年Cuffer and Barbillonに始まるといわれる11)。
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