特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅰ)
食道狭窄
赤倉 一郎
1
,
中村 嘉三
1
,
三富 利夫
1
1慶応大学医学部
pp.437-442
発行日 1962年6月20日
Published Date 1962/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202897
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はじめに
食道疾患の診断は先ず食道のレ線検査,次いで食道鏡検査を行うのが通常であるが,これらにより診断および治療方針が決め難い場合,あるいは誤診に導びかれる場合も時にある.ここにはわれわれの経験したそのような症例について述べよう.
第1例は高年者の食道癌が良性食道狭窄として,比較的長い間ブジールングを受け,その後に食道癌根治術が施行されたものである.第2例は約5年間Achalasiaとして姑息的に治療された後,手術的治療に移行して,噴門癌の併発を見出されたものである.第3例は術前に食道癌と診断されたが,手術により食道の良性ポリープと判明した症例である.第4例は8年前に胃潰瘍の根治術を受けたものに見られた下部食道癌にたいして,根治術の適応が疑われたが,意外にも手術に成功したものである.
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