Japanese
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特集 癌手術例の検討
食道癌5年生存例の検討
Statistical review of five-year suruiivals after surgery for carcinoma of the esophagus
中山 恒明
1
,
鍋谷 欣市
2
,
牧野 耕治
2
,
星野 邦夫
2
Komei NAKAYAMA
1
,
Kinichi NABEYA
2
1東京女子医科大学外科
2千葉大学医学部第2外科
pp.1033-1039
発行日 1965年8月20日
Published Date 1965/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203700
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緒言
ここに2枚のX線フィルムがある(第1,2図).その所見は一目で判る食道癌の像である.およそ10数年前,これをみた何人の医師が手術の成功を信じ,何人の医師が5年以上生存することを疑わなつたであろうか.
かつて食道癌は不治の病とされ,内外の文献をみても全く絶望的な治療成績であつた.1913年Torek1)が始めて胸部食道癌の手術に成功し,その後,本邦では1932年,恩師瀬尾教授2)と京大大沢博士による宿題報告が行なわれたが,当時の手術死亡率は全世界で90%以上の高率であつた.しかし食道癌手術という峻山に歩を進めた先人の苦心と努力は,同じ道を歩むものにとつて無限の鑑である.そして1946年以降,冒頭に掲げたような食道癌がしだいに安全に手術3)され,5年生存例をかなり得るに至つた食道癌手術の歴史は,顧みれば血と涙と汗で綴られた艱難の道であつた.しかも食道癌は現在なお重篤な病の一つであることは,全世界の5年生存例がいかにも少ないことで解る.ここにおいて今までの遠隔成績を深く検討して,将来の治療方針に役立てることはきわめて意義深いものと思う.
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