Japanese
English
特集 胸部食道癌の外科
早期食道癌
Early carcinoma of the esophagus
鍋谷 欣市
1
,
花岡 建夫
1
,
滝川 弘志
1
,
新井 裕二
1
,
本島 悌司
1
,
川原 哲夫
1
,
入村 哲也
1
,
三浦 二三夫
1
Kinichi NABEYA
1
1杏林大学医学部外科
pp.719-724
発行日 1974年6月20日
Published Date 1974/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206050
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はじめに
1966年山形ら1),中山ら2)による早期食道癌の最初の報告があつてから,すでに10年近くなる.この間,早期食道癌の定義をめぐつて,活発な討論報告3-9)がくり返され,1973年9月には食道癌取扱い規約10)の中に新しい定義がのせられた.すなわち,それ以前には癌浸潤が粘膜下層までにとどまるものを,リンパ節転移に関係なくすべて早期食道癌としたが,新しい規約では,早期癌(St-O癌)は,癌浸潤が粘膜下層までで,リンパ節転移のないものとし,リンパ節転移のあるものは表在癌と呼ぶことになつた.また術前照射例では,それぞれR—早期癌と,R—表在癌とに分けられた.このことは,早期胃癌の定義とやや異なるが,従来リンパ節転移陽性例では,早期といいながらSt-O癌でなくなるという矛盾を解決したものである.
このような定義にしたがつて,今までの早期食道癌症例7,11,12,13)を再検討し,新たに1973年12月までの本邦報告例14-18)を集計してみると,早期癌は47例,表在癌は5例,R—早期癌は27例(Ch3例含む),R—表在癌(Ch 2例含む)は12例で,計91例となつた.
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