アンケート
出血性シヨツクの救急処置—救急疾患
井口 潔
1
,
渋沢 喜守雄
2
1九州大学外科
2国立王子病院
pp.902-904
発行日 1965年7月20日
Published Date 1965/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203672
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急性出血にさいしての致死出血量を動物(犬)でしらべて見ると,略々50cc/kg (体重)であり,これは循環血液量の1/2強に当る.出血性ショックという診断がまちがいないとすれば,まずとるべき処置は,血液の喪失を補つてとりあえずの救命をはかることであるが,この場合何をもつて血液喪失量を補うかが問題となる.
急性出血の場合,循環血液量は上記のごとく正常の約1/2に減少すれば死に至るに対し,ヘモグロビンのみについていえば,正常の1/3〜1/5にまで減少しても生命維持に必要な最低限の酸素運搬能は保持される.したがつて,救命処置の緊急に目標とするところは,ヘモグロビンの補充ではなくして,循環血漿量の回復である.私共の教室の動物実験の結果を見ても,出血後直ちにAlginon,Dextranのような血漿増量剤を出血量と同量だけ輸注してやると,輸血の場合と同様40cc/kg (体重)まではこれを救命るし得ことが分つている.このさい5%糖液,生理食塩水のような晶質液では,血圧,循環血漿量の回復,保持効果が劣る為,出血生体の救命にははなはだ不満足である.
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