外国文献
感染シヨツク,他
pp.1236-1240
発行日 1963年9月20日
Published Date 1963/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203161
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グラム陰性菌感染に伴うシヨックは菌のendotoxinによるといわれるが,シヨック成立機序は殆んど明らかでない.そこで著者らは5例の感染(大部分Krebsiella-aerobacter)シヨックの血行力学を精査した.被検時血圧は大体60以下,被検時までのシヨック継続は5〜74h,このうち2例死亡した.さて,シヨック時の心指数平均1.4l/min./m2(0.4〜1.7)で正常より激減.総末梢抵抗2075dynes/sec/cm−5(1800〜3060)で著明に増加している.静脈圧6.1mmHg(1.5〜9.0).循環時間28.6sec(22.1〜38.5)で,かなり遅延.心総仕事量2075gm(1490〜2860)で,血圧低下はいうまでもないが,最も目立つことは心指数減少,循環時間延長,末梢抵抗増大である.血液濃縮・アシドージスは起つていない.したがつて,感染シヨックは血管拡張をきたすvasomotorcollapseということはできない.循環量,静脈圧が正常下限にあるから,鬱血性心不全ということもできない事以上の所見をイヌ・ネコなどにendotoxinを注射した成績に対比するに,イヌでは腹部内臓への静脈鬱血,ネコでは肺の鬱血という具合に,動物によつて鬱滞する部位は異るが,静脈鬱血の起ることは明かで,人体でも静脈領域への鬱滞,静脈血還流が阻害され,その結果,心送血量が減少するのであろう.
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