外来の治療 実地家のための外来治療・3
熱傷・骨折・腰痛治療・小さな工夫
出月 三郎
pp.899-901
発行日 1965年7月20日
Published Date 1965/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203671
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3.熱傷
熱傷もまた外来診療の対象として重要である.熱傷の場合は患者が医師を訪れるまでに,本人や周囲の人が如何に処置したかその第1処置がはなはだ大切で,これによつてその後の予後が大変に違つてくる.最も注意すべきは,受傷後被服などを脱がせる時または輸送途中などに,熱傷部の皮膚を剥がさないように慎重に取扱うことである.熱傷部にただ油を塗布し清潔のガーゼなどで被つて来ればよいのに,中には味噌をつけたり,蒲団綿などで被つて来る患者もあつて,それを取り除くだけでも苦労をしなければならない.
全身の皮膚の1/5以上に及ぶ熱傷は,すでに外来治療では無理である.外来で治療できる熱傷で,治療上最も大切なことは,化膿させないことと患者に痛みを感じさせないことである.これがためには治療上の総ての操作を,無菌手術を行なうと同様にする.また熱傷部の皮膚を出来るだけ温存し水疱や表皮などを出来るだけ剥さないように務めなければならぬ.
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