カラーグラフ
性染色質—その臨床病理的意義
高橋 正宜
1,2
1中央鉄道病院中検
2杏林大・病院病理部
pp.676-677
発行日 1976年7月15日
Published Date 1976/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917720
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性染色質あるいはX小体(Barr & Bertram)は正常女性の体細胞間期に,核縁に接して見られる平凸状,三角状,半球状の小体で塩基性色素に好染する.これはXXの2個の染色体のうち遺伝学的に不活性化した1個の性染色体(late replicating X)に由来するヘテロクロマチンである.Qバンド,Gバンドなどの新しい分染法が導入されるまではC群におけるX染色体の同定には限界があり,性染色質による性染色体異常のスクリーニング検査は有用なものとして活用されてきた.性染色体数は〔X小体+1〕に当たり,したがって,Turner症候群(XO)ではX小体は欠如し,Klinefelter症候群(XXY)では1個,Superfemale (XXX)では2個のX小体を認める.Y小体がY染色体数と一致するのとは異なっている(臨床検査,18,1098,1974).
女性の末梢血好中球分葉核にみられる突起,ドラムスチックは性染色質と同意義をもつが,出現頻度は低く2〜3%である.Davidson & Robertson-Smithはその小体を5型に分類しているがドラムスチック,無茎性結節などが代表的である.癌化に伴う常染色体変異と同様にX小体の減少や増加あるいは大きさの異常などが注目される.また,悪性腫瘍例における好中球分葉核の糸状突起は悪性随伴所見として興味深い.
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