臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
XIII.性染色質・ドラムスチック・染色体検査法
性染色質・ドラムスチック・染色体検査法
田村 昭蔵
1
1慶大産婦人科
pp.829-837
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203172
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細胞遺伝学的研究の嚆矢となったのは1949年Barrらの性染色質の発見であり,臨床的にはMoore, Graharn & Barrらによりはじめてヒト皮膚組織を用いて半陰陽患者のgenetic sexの決定に応用された.ついで1954年にはDavidson & Smithにより性差の指標としてのDrumstickの有用性が指摘された.1956年Tjio & Levanは人類の染色体が2n=46であることを報告し,たちまち多数の賛同を得るに至り,ここに人類染色体研究史上の長い論争に終止符が打たれた.まもなくLejeuneら(1959年)によりDown症候群における常染色体の過剰が明らかとなり,その後踵を接して種々な染色体異常疾患が報告され,ここに人類細胞遺伝学は新たな第一歩を踏み出すに至った.その後,染色体検査法の発達,なかんずく末梢血培養法の応用により,染色体研究は材料入手上の制約から解放され,急速に臨床医学領域に普及し,今日のごとき臨床細胞遺伝学の隆盛をもたらすに至った.
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