Japanese
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講座 患者管理
外科領域における栄養管理(その4)
Nutritional management in Surgery (4)
日笠 頼則
1
,
松田 晉
1
Yorinori HIKASA
1
1京都大学医学部外科学教室第二講座
12nd surgical Clinic Kyoto University School of Medicine
pp.1664-1669
発行日 1964年12月20日
Published Date 1964/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203497
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Ⅱ.外科領域における栄養管理の実際
1)術前管理の方針
外科領域で取扱う患者の一般通則として,入院時既に多少とも咀嚼・嚥下の障害,消化吸収の障害,出血,嘔吐,下痢等による体液の過剰喪失,肝機能の低下,細菌感染,発熱,悪性腫瘍や食欲の不振,食餌摂取の制限等による体構成分の異常崩壊等を伴なつている場合が多いから,なにはともあれ,入院時ただらに低蛋白血症,貧血,脱水,電解質代謝の異常,副腎皮質機能低下の有無,肝機能状態等を十分に精査し,当該個体の栄養状態を正確に把握,判定して,速やかにそれに対処した適当な栄養補給を第1表のような各種の方法を駆使,応用して行ない,患者の状態を一刻も早く,その目的とする手術に十分耐え得る状態ならしめることが肝要である.
術前の水分補給は,一般に患者の尿量が50cc/kgの水分投与にさいして25〜30cc/kgに,尿比重が1.015程度に,かつ細胞外液量が体重の22〜29%の間に保特されるように行なつておくのが理想とされ,要するに,術前の水分補給は術中,術直後の脱水ショックを防止する意味で軽いOverhy-drationの状態に維特しておくのを原則とする.
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