Japanese
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特集 新しい抗生物質と外科
消化器外科と抗生物質
感染をおこしたらどうするか
胆嚢炎,胆管炎
Chemotherapy of cholecystitis and cholangitis
谷村 弘
1
,
小林 展章
1
,
日笠 頼則
1
Hiroshi TANIMURA
1
,
Nobuaki KOBAYASHI
1
,
Yorinori HIKASA
1
1京都大学医学部第2外科
pp.1515-1520
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208148
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はじめに
胆道系の感染症は,大きく分けて,胆嚢炎,胆管炎,肝膿瘍,胆汁性腹膜炎があるが,急性胆嚢炎は胆嚢摘除術により根治せしめ得るし,また胆汁性腹膜炎も緊急ドレナージ手術の対象となる1).また,胆管炎のうち,もつとも激症型である急性化膿性閉塞性胆管炎では,疑診が生じたら直ちに,PTCDあるいはT-tube挿入など体外への胆汁誘導路の外科的作製が不可欠である2).このように外科的処置が必須であるとはいえ,胆道感染症は,胆道系の解剖学的な関係からとくに難治性になりやすく,胆管内圧の上昇に伴つて,容易にエンドトキシン・ショック,敗血症を併発し,致命的となる危険性が,他の部位の感染症に比較して,高いという特徴があり3),診断と同時に適切な抗生物質を早期から十二分量投与しなければならない.しかも,胆管炎の多くは,発熱,黄疸,疼痛などの急性炎症を繰り返し,単発性に比べ予後の悪い多発性肝膿瘍を形成するので,慢性胆管炎に対してもまた膿瘍形成前に十分な化学療法を行い,その発生防止に努めるべきであろう4).
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