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手術麻酔管理の重要性
山下 九三夫
1
1国立東京第一病院
pp.107-108
発行日 1964年1月20日
Published Date 1964/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203245
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数年前の医師国家試験に全身麻酔と脊椎麻酔と局所麻酔の何れがもつとも安全であるかという問題が出てその模範解答に窮したことがある.出題者の正解は何であつたかは知らないが"解答不能"か,"何れも同じ"というのが正解であつたかもしれない,Waters & Gillespie(1944)の報告でも各麻酔法の死亡率は吸入麻酔0.100%,静脈麻酔0.127%,脊椎麻酔0.139%,局所麻酔0.106%で母集団が多くなると死亡率は何れも0.1%近くにしぼられて来る.しかし私はこの1,000名に対し1名の死亡は氷山の一角で1名の死亡のかげには10名の重篤者,100名の要注意者があるに相違ないと思う.幸い患者は自ら生理的に代償してくれるので,見かけ上は無事手術が終了したまでのこととも考えられるので新しい手術管理の方法とは,第1に不注意による事故を完全に防止し,第2に今まで曖昧にされていた患者の病態生理を術前および術中術後に亘り時々刻々に把握し,第3に万一事故が起った時も何より早くこれに対処するということにある.
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