連載 老人看護展望—欧米研修より・8
ケアスタッフ教育および看護管理の重要性
阿部 俊子
1
Toshiko Abe
1
1イリノイ大学シカゴ校看護博士課程
pp.806-809
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904881
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アメリカでは,西暦2040年には65歳以上の老人の330万人が長期療養施設に住むということになる.1980年現在で130万人の老人がそれらの施設に入居しているから,アメリカの老人長期療養施設は急成長をしいられている.これらの長期療養施設は問題も多く,アメリカではナーシングホームというと,一般的にはかなり悪いイメージがある.そのケアの質の悪さは社会問題にさえされている.
これらの問題から,アメリカではナーシングホームの規制が厳しい.ミニマムデータセット(MDS)やナーシングケアプランなどが,ケアの質の査定のために州などの監査機関によって使用されている.その成果として,社会問題になるほどの劣悪なナーシングホームがなくなった.しかし,このような監査の厳しさは,ナーシングホームのスタッフを多くの事務業務で多忙にすることはあっても,必ずしもケアの質に直結するという保証はない.こういうなかで,ケアの提供者(プロバイダー)であるスタッフ教育はかなりケアの質に直結する問題である.今回はスタッフ教育について考えてみたい.
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