第4回全国自治体病院学会特別議演
経営管理の意味と重要性
石原 信吾
1
1虎の門病院
pp.78-86
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202891
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貧乏と大きな使命
私は,ただいま全国に7,000近くあるといわれております病院の中の1つの病院におきまして,日夜苦闘を続けておられます皆さま方と同じ苦難をわかっている者でございます。私はよく,うちの課長や,婦長たちと話し合うのでありますが,今の時代に病院に身をおきまして,その仕事に従事しておりますことは,何かひとつの不運な宿命に身をまかせるようなもので,この不運をのがれるためには,病院から逃げ出すほかはないんじゃないか,そういうような話をしているわけでありますが,おそらく,われわれ病院人同士の間では,それはほんとうに実感としてわかっていただけるんじゃないかという気がするわけでございます。とにかく,病人がそこにおれば,その人の命はどうしても無条件に救わなければなりません。また,その人の失われた健康というものは,それがその人の幸福を実現するための基本的条件である以上,どうしても回復させなければならないのであります。そういうようなのっぴきならない要請をもったしかも非常に多数の病人を,病院は日夜抱えているわけでありますから,われわれ病院人の仕事というものが,非常にいやおうなしの,のっぴきならない性質のものになることは,正に当然といわなければなりません。
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