アンケート
呼吸不全者の麻酔および手術方法
脇坂 順一
1
,
綿貫 重雄
2
,
山本 道雄
3
1久留米大学医学部外科
2千葉大学医学部外科
3慶大医学部麻酔科
pp.1556-1558
発行日 1963年12月20日
Published Date 1963/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203228
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従来,呼吸不全者に対して手術を行なうことは危険であり,また,困難であると考えられていたが,近時このような症例に対しても手術がある程度可能となつてきた.これは呼吸不全に対する病態生理の解明に負う所が大であると思う.一般に,呼吸不全者(Respiratory cripple)とは換気面の大きな障害があるのは勿論であるが,また,同時に循環面の障害も伴う場合の多いことを指摘しておきたい.このことはRespiratorycrippleの麻酔および手術のやり方に基本的な問題となるからである.
さて,Respiratory crippleに対する手術および麻酔の方法であるが,それはRespiratory crippleを招来した原疾患の如何により,その態度を異にするものである.すなわち,重症肺結核,肺化膿症,気管支拡張症,肺癌,僧帽弁狭窄症のように,各疾患によつて異なる.また,res-piratory crippleの病態生理のあり方により,麻酔および手術は左右される.例えば,換気面績と肺血管床の減少がほぼ平衡しているような重症肺結核の場合では,術中,術後のAnoxia, Hypercapneaに注意すれば,手術は可能であり,これに較べVentilation perfusion relationshipの障害され易い場合(例えば,肺癌肺膿瘍にみられる)では麻酔および手術は余程慎重でないと失敗することを指摘しておきたい.
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