Japanese
English
特集 外科と感染—その基本的対策とPitfall
皮膚消毒—手術野および術者の手指の消毒
Skin disinfection
脇坂 順一
1
,
田中 英輔
1
Jun-ichi WAKISAKA
1
1久留米大学医学部脇坂外科
pp.641-647
発行日 1973年5月20日
Published Date 1973/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205802
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はじめに
外科手術における術中感染は,消毒法,滅菌法の発達ならびに種々の抗生物質を含む抗菌薬剤の開発利用によつてかなり減少はしているものの,なお創感染の頻度は少なくなく,その防止法については根本的対策がとられねばならない.外科領域における術後感染症の中には,手術器具,患者の手術野,術者の手指などの消毒が不完全なために,耐性菌はもちろん弱毒菌も感染することが少なくない.また最近においては,耐性菌が病院内の勤務者,寝具等に多く存在している事実が明らかとなり,これより発生する病院内感染,手術室そのものの汚染,いうなればホスピタリズムということがクローズアップされてきている.一方手術野或は術者の消毒は近年においては,逆性石鹸の出現によつて一応の進歩は見ているものの,詳細にこれを観察すると決して安心できない多くの諸問題が残つている.そこで私共はまず手術者および手術野の消毒についての現段階における進歩の現況について概説すると共に,併せて新たなase—pticな考え方,ならびにその対策についても言及してみたい.
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