特集 整形外科症例集
結節性筋膜炎(仮性肉腫様筋膜炎)の1症例
高橋 希一
1
1東北大学医学部桂外科
pp.1343-1346
発行日 1963年10月20日
Published Date 1963/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203178
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腫瘍を主訴とする症例に対してはその腫瘍が良性であるか悪性であるかを識別することが治療上の第一義的なものである.そして多くの場合,患者の局所および全身的な症状や経験からその良性,悪性を知り得るが,さらには手術所見や最終的には病理組織所見等によりその良性,悪性が決定されることが通常である.ところがある腫瘍が臨床上は急速に発育しその組織所見上肉腫状を呈することから悪性腫瘍として取り扱われる傾向がありながら実際は良性である疾患がある.主として皮下脂肪組織内に形成される腫瘤で"Pseudosar-comatous fasciitis"という名で1955年以降に新らしく一独立疾患として取扱われるようになつたものである.われわれは最近かかる1症例を経験したがその臨床ならびに組織所見が特異なので,ここに報告する.なお本疾患名はいまだ本邦の文献上見当らないので筆者はこれを"仮性肉腫様筋膜炎"または"結節性筋膜炎"と呼称してそれぞれ"Pseudosarcomatous fasciitis"または"Nodular fasciitis"の訳語とした.
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