連載 眼の組織・病理アトラス・71
結節性筋膜炎
坂本 泰二
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.1260-1261
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901289
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結節性筋膜炎nodular fasciitisは,線維芽細胞が反応性に増殖して腫瘤を形成する良性の疾患である。これは軟部組織の腫瘍性病変としては最も頻度の高いものの1つで,通常,上下肢,体幹に発生する。頭頸部にも発生するが,眼科領域では比較的まれで,外眼筋,眼窩内,眼瞼,眉毛部,強膜に発生することが報告されている。臨床的には,比較的急速に増大し,周囲との境界の明らかでない腫瘤を形成し,発赤疼痛を伴う。発生部位によっては眼瞼下垂や複視などを訴える(図1)。あらゆる年齢層に発生し,20歳代から30歳代の若年成人に多い。
本症の臨床診断はきわめて難しく,病理学的検索で初めて診断される。また,急速に増大し,境界不鮮明な腫瘤を形成するので,臨床的には肉腫との鑑別が必要である。とくに,組織学的に類似した線維肉腫,平滑筋肉腫との鑑別が大切である。
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