Japanese
English
講義
癌の化学療法について
On Chemotherapy of the Cancer
島田 信勝
1
Nobukatsu Shimada
1
1慶応大学
1Department of Surgery School of Medicine Keio University
pp.527-539
発行日 1963年4月20日
Published Date 1963/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203066
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わたくし島田でございます.きよう私がこれからお話ししますのは,幾ら骨をおつても癌はまだなおらんぞというところで,大へん悲観的なことでありますが,しかしこれからおそらく皆さんが10年か20年すぎたころ,あるいは私どもはこの世にはいないかもしれませんが,ともかく癌の治療が成功しましたころに,あんな話を島田からきいたことがあるというような思い出話にでもなれば幸いと存じます.
最初にここにあるレントゲン写真をみていただきたいと存じます.最近女子医大外科で根治手術の出来なかつた胃癌のレ線像でありますが,30歳の女の方で心窩部に大きな腫瘤がふれ,幽門狭窄の症状を訴えて来院したのであります.開腹所見をうかがいますと,胃は全部癌性浸潤をうけ,膵ばかりでなくその周囲にまで広範な播腫を認めどうにもならなかつた腺癌の症例だつたそうですが,これらの写真をみましても幽門狭窄の所見があり,内容のうつ滞が認められます.しかも胃全体が何となく硬い感じがあり,また粘膜皺襞像も判然としない.
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